次世代のバイオマス素材として注目される「セルロースナノファイバー(CNF)」とパルプ繊維を混ぜ合わせたシートをこのほど開発した大王製紙(愛媛県四国中央市)などの関係者が8日、県庁で中村時広知事に開発経過を報告した。
 CNFのシートは、県が本年度から始めた研究開発プロジェクトの活動の一環で製作。CNFを試験生産するプラントを持つ大王製紙と、金型メーカーのヤマセイ(松山市)が協力し、プロジェクト初めての成果物として完成させた。
 大王製紙の説明によると、同じ植物由来のパルプ繊維を混ぜることでCNF単独では困難だった脱水を容易にし、シートへの成形加工が可能になったという。同社の玉城道彦技術開発部長は「軽量で高強度、高温領域で非常に強度の高いものができる」と性能の高さを強調。自動車部材や建材、スポーツ用品などへの活用の可能性に言及した。
 シートの成形に使う金型の設計・製作などを担当したヤマセイの倉知秀金社長は、量産化への見通しについて「生産性向上や品質安定化が課題」と語った。
 複数の製紙大手もCNFの研究開発を進めており、中村知事は「他の地域に負けないように先駆的な開発を」と期待を寄せていた。